認知症と遺産分割
【ご質問】
父の相続の時に母が認知症の場合、遺産分割はどうすればよいのでしょうか?
【ご回答】
成年後見人が代わりに遺産分割に参加します
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1.相続人が全員健康な場合
相続人が全員健康である場合には、相続人全員による遺産分割協議ができます。相続人全員が納得の上、遺産協議書に署名・押印(実印)をします。
相続人全員が分割内容に納得すれば、スムーズに相続手続きができます。
2.相続人の中に認知症の方がいる場合
相続人の中に認知症の方がいる場合には、お母様に意思確認ができないため、認知症であるお母様に代わり「成年後見人」が遺産分割協議に参加し、署名・押印をすることになります。
この場合、成年後見人はお母様の財産管理(保全)を行うため、法定相続分通りの分割になることが考えられ、他の相続人の主張が通りにくくなることが想定されます。
又、相続発生前のお母様の介護についても、お母様の預貯金から介護費用を用立てる際、成年後見人の了解を得る必要があり、お子様が自由に出金することができなくなります。
3.成年後見人の選定
成年後見人の選定は、家庭裁判所に成年後見人の申し立てを行い、調査官による実地調査等を経て、家庭裁判所が審判することになります。
この際、申し立てから審判までの期間は約2ヶ月です。
円満な相続となるためには遺産分割がスムーズに行えるようにしておくことが大切です。近年、平均寿命が延び高齢化が進んでいます。高齢者の中には将来の認知症リスクについて不安を抱えている方も多くいらっしゃいます。相続が発生した時、相続人の中に認知症等を患っている相続人がいる場合、遺産分割協議ができないケースも考えられますが、「遺言」があれば成年後見人を選定する必要がなく、スムーズに分割が行えます。
「遺言書」の作成について興味がおありになる方は、お気軽にご相談下さい。